円形脱毛症とは

円形脱毛症は主に髪の毛が円形に抜けてしまう脱毛症です。治療が長引くことが多いですが、根気よく治療を継続していきましょう。

円形脱毛症とは
~円形脱毛症について~

円形脱毛症は、髪の毛が円形に抜けてしまう脱毛症です。男性や女性、子どもから大人まで誰にでも発症する可能性があります。一般的に精神的なストレスが原因になると言われますが、他にも様々な要因が円形脱毛症を引き起こします。ここでは円形脱毛症について種類や原因、治療方法などを解説していきます。

円形脱毛症とは、髪の毛が急に抜け始める病気です。脱毛症の中でも進行が早く、病的な抜け方をするのが特徴です。また脱毛症といえばAGA(男性型脱毛症)が有名ですが、円形脱毛症は抜け毛の現れ方や原因も全く異なります。

AGAは男性の3人に1人の割合で見られますが、円形脱毛症は人口の約1~2%ほどの割合で見られます。この割合は、世界中のどの国においても共通とされます。円形脱毛症の発症に性別や年齢などは関係なく、100人いれば1~2人は老若男女に関係なくかかる可能性のある病気となります。

髪の毛が抜けることで患者さんは大きなショックを受けてしまい、誰にも打ち明けられず1人で悩んでしまうことも少なくありません。円形脱毛症は1人で悩まず医師と手を取り合い、いっしょに治療に取り組んでいくことが大切です。

円形脱毛症の特徴や症状

円形脱毛症の特徴や症状

円形脱毛症と聞くと、"10円玉ほどの大きさの脱毛"をイメージするのではないでしょうか。そのような円形の脱毛は、まさに典型的な症状と言えます。

しかし円形脱毛症の症状はさらに重くなることもあり、重度の場合では全身の毛が抜けてしまうこともあります。また一度治療をして髪の毛が生え揃っても、再発してしまうこともあります。

次のような症状が現れた場合、それは円形脱毛症の初期症状の恐れがあります。

  • 突然、抜け毛が増えてきた
  • 頭皮の地肌が透けている部分がある
  • 爪にでこぼこしている部分がある
  • アトピー性皮膚炎、気管支炎、アレルギー性鼻炎のいずれかを患っている
  • はっきりとした円形または楕円形の脱毛斑がある

円形脱毛症は自覚症状が少なく、一般の方が自己判断することは難しい病気です。

円形脱毛症の種類

円形脱毛症の症状は、いくつかのタイプに分かれます。それぞれ種類ごとの特徴について解説していきます。

通常型

通常型は、もっとも一般的な円形脱毛症のタイプです。脱毛斑の数によって「単発型」と「多発型」に分けられます。

まず単発型は、俗に言う"10円ハゲ"です。円形脱毛症の中でも最もよく見られる症状で、髪の毛の一部分だけが丸く抜け落ちてしまいます。

これに対し、単発型の症状が複数の箇所に現れたものを多発型と呼びます。はじめから多発型の症状が現れる場合と、単発型から多発型へと移行する場合とがあります。

単発型の方が治りやすいように思われますが、回復率に関しては単発型・多発型で違いはありません。重要なのは抜け毛の範囲がどれだけか、発症してからどれだけ時間が経過しているかです。

国内で行われた調査結果によると、発症から1年以内の単発型、あるいは脱毛箇所が少ない多発型であれば1年以内に80%の患者さんが完治したと報告されています。また軽症の場合では、何をしなくても自然治癒することもあります。しかし脱毛部位が広がったり、発症から時間が経ってしまっていると治療が難しくなります。

蛇行型

前頭部や後頭部、側頭部など髪の毛の生え際に沿って、細長い脱毛斑が見られるタイプです。おでこや耳の周り、首筋などの部分で、まるでヘビが蛇行するように広い範囲で脱毛が起こります。治りにくく、抜け毛の範囲が小さい場合でも治療が長引くことが多いです。

全頭型

多発型の症状が現れた範囲が広がり、頭部全体に及んだものを全頭型と呼びます。全頭型は全ての髪の毛が完全に抜け落ちてしまう、重症のタイプです。非常に治りにくい円形脱毛症と呼ばれ、多くの場合において治療も長期化します。必要に応じてカツラや帽子を被るなど、病気と上手く付き合う工夫も重要となってきます。

汎発型

全頭型の症状がさらに進行し、まゆ毛・まつ毛・体毛など全身のあらゆる毛が抜けてしまうタイプです。円形脱毛症の中でも、最も重度のものだと言われます。ですが治る可能性はあるので、諦めずに治療を続けることが大切です。

円形脱毛症の原因とは

円形脱毛症の原因とは

円形脱毛症は、「自己免疫疾患」だと言われます。人のからだには、細菌やウイルスなどのような異物から身を守るための免疫システムが備わっています。例えば風邪をひいた時に体温が上がるのは、体内に侵入したウイルスと免疫が戦ってくれている証拠なのです。

ですが免疫システムがエラーを起こし、自分のからだを"異物"と判断して攻撃してしまうのが自己免疫疾患となります。円形脱毛症では毛根が異物と間違えられて攻撃されてしまい、毛根はダメージを受けて髪の毛が抜け落ちてしまいます。

では免疫システムにエラーを起こす要因は何なのでしょうか。主に、次のようなものが要因になると考えられています。

  • 精神的なストレス
  • 薬剤アレルギー
  • ウイルス感染
  • 頭皮の疾患
  • 疲労

など

特にストレスが円形脱毛症を引き起こすというのは、有名な話です。"万病のもと"とも言われるストレスですが、もちろん髪の毛にも良くありません。

ストレスが頭皮に及ぼす悪影響としては、血行不良があります。日常生活の中でストレスを受け続けると、頭皮への血流が悪くなるのです。髪の毛を育てるために必要な酸素や栄養素は、頭皮を走る毛細血管から毛根へと運ばれています。頭皮の血行不良が起こるとそれらが毛根に届かなくなり、髪の毛も元気が無くなって抜けやすくなってしまうのです。

ですが円形脱毛症は赤ちゃんの頃から発症することもあり、ストレスだけが要因であるとは言い切れません。

また円形脱毛症は、「アトピー素因」を持っている方に起こりやすいという特徴もあります。アトピー素因とは"アレルギーを起こしやすい体質"のことであり、具体的に次のような方を指します。

  • 家族や自分が気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のいずれかにかかったことがある
  • IgE抗体(アレルギー反応に関わる物質)をつくりやすい体質

後者については、血液検査で調べることが可能です。2つの条件のうち、どちらか一方に当てはまればアトピー素因があるということになります。そして円形脱毛症はアトピー性皮膚炎と合併することも多く、2つの病気には密接な関わりがあると考えられています。

円形脱毛症と遺伝

円形脱毛症は誰にでも発症する可能性がある病気ですが、最近では遺伝することもあると考えられています。

中国で行われた大規模な調査によると、円形脱毛症の患者さんの8.4%では家族にも同じ病気が発症していたと報告されています。その発症率は"親と子"のように関係が近いほど高く、欧米の調査では1親等内に円形脱毛症の家族がいる場合、発症率は通常の10倍になるとの結果も出ています。

また一卵性双生児の双子では、約55%の双子において兄弟のどちらにも円形脱毛症が発症していると言われます。このようなことから、円形脱毛症の発症には遺伝的な要素が関わっていると見られています。

子どもの円形脱毛症

子どもの円形脱毛症

円形脱毛症は80%の患者さんが30歳以下で発症しており、若い患者さんが多いです。中でも全体の患者さんの内、4人に1人は15歳以下の子どもという報告があります。

子どもが円形脱毛症を発症した時には学校生活や習い事など、日常生活の中になにか不満を抱えているのかもしれません。円形脱毛症は、ストレスがきっかけで発症することもあります。

ですが子どもの内はそうした心のもやもやをうまく表現できなかったり、親に心配をかけまいとして悩み事を隠す場合も多いです。普段から親子で会話をして、ストレスの原因がわかった時はその解決方法をいっしょに探っていきましょう。

また子どもに円形脱毛症を発症した場合、周りの子どもにからかわれたりいじめられたりすることで新たなストレスを抱えてしまうこともあります。そうでなくとも、「はげている」という事実を周りに知られることで恥ずかしがったり、ショックを受けてしまいがちです。

学校の先生にも相談し、子どもが傷つかないように守っていきましょう。その他には抜け毛が生じている部分が隠れるような髪型にしたり、必要に応じてウィッグをつけるといった対策法もあります。この時も親子でよく話し合い、子どもが「どうしたいのか」を聞くことが大切です。

そして髪が抜けるということは、大人だけでなく子どもにとってもショックが大きい出来事です。子どもが円形脱毛症を発症して落ち込んでいる時は「病気だから治る」、「見た目なんて関係ない」といったことを伝えるなど、精神的なサポートもしていきましょう。

抜毛症と混同しない

円形脱毛症と間違えやすい病気の1つに、「抜毛症」があります。抜毛症とは自分の髪の毛やまゆ毛などを抜いてしまう病気で、「抜毛癖」とも呼ばれます。

思春期の子どもに見られることが多い病気ですが、"毛を抜く"という行為は例えばリストカットのような自傷行為ではありません。自分自身を傷つけようとして髪の毛などを抜くのではなく、本人も無意識のうちに抜毛をしています。ですが抜毛症は不満を抱えていたり、イライラしている時などストレスがきっかけで起こることがあります。

こうした抜毛症は、円形脱毛症と似たような症状が見られることもあるため混同されることも少なくありません。しかし円形脱毛症と比べると抜け毛が起きている部分の境界線があいまいだったり、利き手側に抜け毛が集中しているなどの違いがあります。どちらとも全く違った病気なので、子どもの抜け毛の原因が何なのかを見極めることが大切です。

AGAとの違い

AGAとの違い

円形脱毛症は髪が抜ける病気の1つですが、脱毛症の中でも患者数が多いのはAGAです。2つの脱毛症は全く違う病気であり、それぞれ治療方法も異なります。薄毛をしっかりと改善していくためにも、それぞれの脱毛症の違いを理解しておきましょう。

円形脱毛症 AGA
どんな人に発症するか 誰にでも発症する 男性
原因 自己免疫疾患やストレス
など
悪玉男性ホルモン
抜け毛が起こる部位 特に決まっていない 前髪の生え際や頭頂部
症状の進み方 急に抜け毛が起こる 徐々に髪の毛が薄くなる
治療方法について ステロイド薬など 主にAGA治療薬の使用

このように、円形脱毛症とAGAにははっきりとした違いがあります。AGAは前髪の生え際や頭頂部を中心に、少しずつ髪の毛が薄くなっていく脱毛症です。一方の円形脱毛症では、頭皮の一部分の髪の毛が急に抜け落ちてしまいます。両者の違いを見極め、適切な治療をしていくことが大切です。

円形脱毛症は治る?

円形脱毛症は治る?

自分の髪の毛に円形脱毛症が起こっているのを見つけたときに、患者さんは大きなショックを受けるかもしれません。ですが円形脱毛症は、治る病気です。

脱毛斑が小さい場合だと、治療をしなくても自然治癒することがほとんどです。しかし抜け毛の範囲が広くなると、治療が数年に及ぶこともよくあります。ですが円形脱毛症が長引いても毛根は生きているので、患者さんに合った治療方法を見つけることでまた健康な髪の毛が戻ってくると考えられています。

円形脱毛症の治療方法

まず円形脱毛症を発症した場合、何科を受診するべきか分からなくなるかもしれません。ですが円形脱毛症は"頭皮に原因がある"と考えられているため、一般的には皮膚科で治療を受けられます。

円形脱毛症の治療方法は、大きく3つに分かれます。

  • 局所療法
  • 外用療法
  • 内服療法

中には例外もあるものの基本的には健康保険も適用され、円形脱毛症は保険診療となる数少ない脱毛症です。ここでは、主な治療方法についてご紹介していきます。

局所療法

局所療法として行われるのは、主に「ステロイド局所注射」と「局所免疫療法」などの方法です。

まずステロイド局所療法とは、病気の治療薬として使われることが多いステロイドを脱毛が起きている部分に注射する治療方法となります。次のような症状の患者さんに対しては、第一選択として行われます。

  • 単発型、あるいは多発型
  • かつ脱毛が起きている部分が、頭部全体の25%未満

高い治療効果があることを確認されているものの注射をする時の強い痛みや、注射をした部位の陥没といった副作用には注意が必要です。また子どもに対してステロイド局所療法は行われません。

次に局所免疫療法は、人工的にかぶれを起こす化学試薬を用いる治療方法です。広い範囲に脱毛が起きている患者さんに対し、年齢を問わず第一選択として行うよう勧められています。

  • 頭部全体の25%以上に脱毛が起きている多発型
  • 全頭型や汎発型

9割以上の患者さんに発毛効果がある治療方法ですが、蕁麻疹や頭痛、けん怠感などの副作用があることを報告されています。特にアトピー性皮膚炎を合併している場合だと、皮膚症状を悪化させることもあるので注意しなくてはなりません。

なお、局所免疫療法の時に使用される「SADBE(スクアレン酸ジブチルエステル)」や「DPCP(ジフェニルシクロプロペノン)」などの薬品は、実は医薬品ではありません。そのため保険適用外となります。

外用療法

外用療法として行われるのは「ステロイド」「ミノキシジル」「塩化カルプロニウム」などの塗り薬の塗布です。それぞれ次のような効果があるお薬となります。

ステロイド 炎症や免疫システムのはたらきを抑える
ミノキシジル 頭皮の血流を改善し、発毛を促す
塩化カルプロニウム 血管拡張作用を持つ育毛成分

なおこれら3つのお薬に関して、現段階で十分な治療効果が実証されているのはステロイドの塗布だけです。しかしミノキシジルや塩化カルプロニウムは安全性が高いため、他の治療方法と併用して行うことがあります。

内服療法

内服療法として行うのは、「ステロイド」「セファランチン」などのお薬の服用です。

局所療法や外用療法に利用されてきたステロイドですが、場合によっては飲み薬として服用することもあります。ですがステロイドの内服はからだへの負担が大きく肥満や糖尿病、緑内障、生理不順など様々な副作用のリスクが懸念されます。また服用をやめると、円形脱毛症が再発することも多いです。

そのため発症から半年以内であり、なおかつ症状が急激に進行している成人の患者さんにのみ検討されます。子どもに対してステロイドの内服を行うことは基本的にありません。

次にセファランチンは、アレルギー症状を抑えたり、血流を改善するなどの作用があるお薬です。セファランチンが円形脱毛症に効果があるのか、その根拠は薄いと言われています。しかし国内では診療実績が多く、単発型や多発型の患者さんに対する治療において他の治療方法と併用することがあります。

最後に

最後に

円形脱毛症は、老若男女の誰にでも発症する恐れがあります。髪の毛が急激に抜けてしまい、時間をかけてもなかなか改善されないケースもあります。また一度改善されても、再発を繰り返すこともある病気です。

治療が長引くと精神的にも辛くなり、患者さんは治療を諦めてしまうことがあるかもしれません。ですが病気ともうまく付き合っていき、根気よく治療を続けることが大切です。そのためにも医師とコミュニケーションをとり、信頼関係を築いていきましょう。

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